筆者がこの世で1番好きな作家さんは、東野圭吾先生だ。
特に「マスカレードホテルシリーズ」がお気に入りなのだが、理由は私が長らくホテル業界で働いていたからだ。ホテルで働いていると、毎日いろんなことがある。変わったお客さんはよく来るし、その変わったお客さんのことをスタッフ同士で陰口をたたいたりもする。理不尽なクレームとか、フロントと他部署間のいざこざとかも結構ある。
そういったホテルで働いていたことがある人にしかわからないような「あるある」が見事に描写されているから、マスカレードホテルシリーズの大ファンなのである。
しかしどうして東野圭吾さんは、ホテルで働いたことがないはずなのに、こんなに内部情報に詳しいのだろう?ちょっと疑問に思っていたことが、今回紹介する「むかし僕が死んだ家」の後書きを読んで解決した。
実はこの本、私は本編よりも「後書き」が心に残ったので、忘れないように記録として書いている。
後書きを書いた方は、黒川博行さんという作家さんだ。
後書きには本編の考察以外にも、東野さんと一緒に料理番組に出演したエピソードとかが載っていて、けっこうおもしろい。東野さんがレシピを見ないで作った「とろろあんかけ」が悲惨な出来具合だったらしい(笑)。後書きから、東野さんの意外な一面を知れてお得感がある。
そして、その後書きにこう書いてある。これは月刊誌「鳩よ!」の東野さんへのインタビュー記事の引用ということで書かれていたのだが『自分が、この方面は弱いんだと思ったら、逆に、そっちへ目を向けるようにしています。好きなことはそれまで関わりがあったでしょうし、取材もしやすい、要領もわかっている。でも、そればっかりやっていたんじゃ、成長がない。自分がいままで目を向けなかったところに無理やり目を向けて、それを小説にするくらいの気持ちは、いつも持っています』と言ったそうだ。
実にかっこいい。
ホテル業界のことも、働いたことがないからこそ、徹底的に取材して調べ上げたんだろうな~と感激。
私はどちらかというと、得意なことは突き詰めるが、不得意・苦手なことには時間をかけたくないと思ってしまうタイプなので、だから成長がないのか…と気が付いた。
後書きがこんなに勉強になったのは初めてだ。
もちろん、本編は間違いなくおもしろいので、まだ読んでいない方にはぜひ読んでいただきたい。
ちょっと昔の作品ではあるが、相変わらず伏線が張り巡らされた東野ワールド全開である。


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